ロードバイクの購入を検討されている方に質問ですが、『ルック車』という自転車をご存じでしょうか?
『ルック車』はネット上では、いわゆる”ロードバイクもどき”のような自転車として位置付けられており、『ルック車』だと知らずに購入してしまうと100%後悔してしまいます。
そこで、この記事では、これからロードバイクを始める方に向けて、
- 『ルック車』とは何なのか?
- ロードバイクと『ルック車』の見分け方
- 『ルック車』を購入してはいけない理由
- 私が実際に『ルック車』に乗ってみた感想
などについて紹介していきますので、ロードバイク購入の参考にしていただければと思います。
『ルック車』とは何なのか?
ロードバイクが欲しくなって色々調べていくと、『えっ!ロードバイクって10万円もするの!?』などと驚く方も多いですよね。
もっと安いロードバイクはないかと、ネットで色々探してみると、『えっ!?2万円!?安いロードバイクあるじゃん!』とポチって、後々痛い目をみたという方も多いのではないでしょうか!?
実は、私もその一人でした・・・。
はっきり言ってしまえば、『ルック車』はロードバイクではありません。
例えて言うならば、『ロードバイクの形をした自転車』『ロード風バイク』といった感じです。
Googleで『ロードバイク 安い』などのワードで検索すると、一見するとロードバイクに見える自転車が2万円やら3万円やらで販売されているのが見つかるかと思います。
コレがいわゆる『ルック車』です。
見た目は
- ドロップハンドル
- 多段階ギア
- 細いタイヤ
が付いているため、ロードバイクに詳しくない初心者からすると、ロードバイクに見えてしまいます。
本物のロードバイクは、入門向けバイクでも約10万円ほどします。
つまり『ルック車』とは、コストを極限まで削って、なんとかロードバイクの見た目を保っただけの代物で、中身は本物のロードバイクとは似て非なるものですので、ロードバイクの爽快感を味わうことはできません。
そこのところを理解せずに、価格の安さに飛びついて購入してしまうと、過去の私のように後悔することになるので要注意です。
ロードバイクと『ルック車』の見分け方
ロードバイクを始めてある程度経過すると、一目見ただけでロードバイクと『ルック車』を見分けることができるようになりますが、初心者の方にとっては難しいことだと思います。
そこで、ロードバイクと『ルック車』を見分けるポイントについて、いくつか紹介しますので参考にしていただければと思います。
こんな自転車は『ルック車』です・・・
- 車体が異常に重い
- STIレバーではない
- 補助ブレーキが付いている
- リアスプロケットが7枚以下
- 仏式バルブではなく英式バルブが使用されている
- スタンドが付いている
- 価格が5万円以下
- フレームによくわからないロゴが記載されている
ザっと挙げてみるとこんな感じです。
順番に解説していきます。
見分け方① 車体が異常に重い
入門向けロードバイクの重量は約10㎏です。
入門向けとはいえ、11㎏台のロードバイクは正直見たことがありませんので、車体が11㎏以上あるような場合は『ルック車』の可能性が高いです。
『ルック車』と呼ばれる自転車の多くは、重量が約13~15㎏ほどです。
シティサイクルの平均重量が約20㎏弱ですので、シティサイクルよりは軽量ですが、入門向けロードバイクと比較すると驚くほど重いといった感じです。
見分け方② STIレバーではない
『STI』とは、『シマノ・トータル・インテグレーション』の略で、ブレーキレバーとシフトレバーが一体型になったタイプのものを指します。
STIレバーが装備された車体は、ブレーキレバーを握った状態でシフトチェンジが可能なので、とても便利というわけです。
一方、一般的な『ルック車』のシフトレバーは、ハンドルの根本に設けられています。
そのため、シフトチェンジを行うためにはブレーキレバーから一度手を放してシフトレバーを操作しなければならず、とても不便になります。
見分け方③ 補助ブレーキが付いている
全ての『ルック車』に付いているわけではありませんが、『ルック車』にはこの“補助ブレーキ”が付いていることが多いです。
補助ブレーキというのは、ブラケット部分に設けられたメインのブレーキとは別に、上ハンドルに設けられたブレーキのことです。
ドロップハンドルの持ち方には、ブラケット、下ハンドル、上ハンドルを握る3つの持ち方があります。
ブラケットと下ハンドルを握る時は、ハンドルを握った状態でブレーキレバーに指が掛かるので問題ありませんが、上ハンドルを握る時は手がブレーキレバーに届かないので、咄嗟にブレーキを掛けることができません。
つまり、上ハンドルを握った状態でもブレーキを掛けられるように設けられたブレーキが補助ブレーキというわけです。
そもそも、上ハンドルを握るシチュエーションは多くないので、通常ロードバイクには付いていませんが、なぜかルック車には付いていることが多いです。
見分け方④ リアスプロケットが7枚以下
有名なメーカーが販売する入門向けロードバイクのリアスプロケットは、8枚以上であることが多いです。
つまり、リアスプロケットが7枚以下であると『ルック車』の可能性があります。
ただし、注意していただきたい点があります。
シマノのロード用コンポーネントの中で一番下に位置する『Tourney』というグレードのものがありますが、『Tourney』のリアスプロケットも同じく7枚です。
じゃあ、『Tourney』が付いている車体は『ルック車』なのか?と聞かれたら、答えは『半分YES』『半分NO』です。
『Tourney』というグレードは、入門向けロードバイクの中でも価格を抑えた車体に付いていることが多いですが、『ルック車』にも使用されているコンポーネントになります。
10万円前後の入門向けロードバイクに使用されているコンポーネントで一番多いのは、『Claris』や『SORA』ですので、『Tourney』が付いた自転車であれば、もしかしたら『ルック車』かも?と疑った方がいいですね。
裏を返すと、『Claris』以上のコンポーネントが付いた車体なら、正真正銘のロードバイクと言って問題ありません。
見分け方⑤ 仏式バルブではなく英式バルブが使用されている
自転車のチューブには空気を入れるバルブがありますが、英式、仏式、米式という3つの種類があり、それぞれ自転車の種類に応じて使い分けられています。
- 英式バルブ・・・シティサイクル
- 仏式バルブ・・・ロードバイク、クロスバイク
- 米式バルブ・・・マウンテンバイク
英式バルブは主にシティサイクルに使用されていますので、一度は目にしたことがあるかと思います。
仏式バルブは高い空気圧に対応することができるため、ロードバイクのような細いタイヤに使用されています。
上記の3種類は明らかにバルブの形状が異なるので、見ていただければ一発でわかります。
バルブの形状はネット通販の写真では判別が難しいですが、スペック表に『仏式対応』や『英式対応』などと表記がありますので、それで判断することが可能です。
現在は『ルック車』でも仏式バルブがメインとなっていますので、英式バルブは稀といってもいいかもしれませんが、一応覚えておくことをオススメします。
見分け方⑥ スタンドが付いている
ロードバイクはレース用の機材です。
軽さは速さに直結するため、各メーカーはフレームやパーツの軽量化に命を削っています。
そのため、早く走る上で不要なパーツ(泥除け、カゴ、スタンド・・・)は一切付いていません。
よって、スタンドが付いていたら『ルック車』である可能性が極めて高いです。
見分け方⑦ 価格が5万円以下
車体を見ただけで価格を判断することは難しいかもしれませんが、中古品や型落ちモデルなどを除いて、5万円以下の価格が付けられているものは間違いなく『ルック車』です。
有名メーカーのロードバイクは、どんなに安くても10万円前後といったところです。
これ以下の価格で販売されているということは、まともなパーツやフレームが使われていないということになりますので、必然的に『ルック車』ということになります。
見分け方➇ フレームによくわからないロゴが記載されている
ロードバイクにある程度乗っている方なら、フレームに記載されたメーカー名を見ただけで、正真正銘のロードバイクor『ルック車』なのかを見分けることができます。
『ルック車』か否かを見分ける手段として、ダウンチューブに記載されたロゴをネットで検索する方法が挙げられます。
上記の結果、自転車メーカーのサイトにたどり着けば『ルック車』ではありません。
逆に、通販サイトばかりが検索上位に表示されるようなら要注意です。
『ルック車』がオススメされない理由
理由① ブレーキの効きがイマイチ
『ルック車』は軽量で細いタイヤを履いていることから、シティサイクルと比較すると速度は出やすいです。
にもかかわらず、ブレーキの利きが悪いというのは致命的な欠点といっても過言ではありません。
ブレーキの効きはシティサイクルの方が上といった印象でした。
理由② ホイールの脱着が大変
クイックリリースとは、工具を使用せずにホイールの脱着が可能な仕組みをいい、ロードバイクなどのスポーツバイクでは、パンク修理やホイール交換が便利なこの仕組みが一般的です。
対して『ルック車』ですが、シティサイクルのようにホイールがナットで固定されているタイプのものが存在します。
この場合、ホイールを外すためにはモンキーレンチなどの工具が必要になってしまいます。
ホイールの脱着に工具が必要となれば、パンクなどのトラブルに備えて、常に重たい工具を携帯する必要があるため面倒というわけです。
理由③ コンポーネントがシティサイクル向け
『ルック車』に使用されているコンポーネントの多くはシティサイクルの流用品です。
一部、『Tourney』などのロード用コンポーネントが使用されている場合もありますが、メインはシティサイクル向けのコンポーネントになります。
ロード用コンポーネントとシティサイクル向けコンポーネントの違いは、変則性能やブレーキ性能などの操作性、レースなどの高負荷に耐えられる耐久性、ギヤ比の差(ペダル一漕ぎで進む距離の差)などが挙げられます。
つまり、『ルック車』に使用されているシティサイクル向けのコンポーネントでは、ロードバイク本来の操作性やスピード感を味わうことができないということになります。
理由④ 車体が重すぎる
先ほどから何度も触れていますが、入門向けロードバイクと『ルック車』を比較するとかなり重いです。
ロードバイクの世界では『軽さ』こそが正義と言われています。
そのため、各メーカーは軽量化に命を削っています。
10g、20gの軽量化に万単位のお金が掛かるのが当たり前の世界です。
もちろん、週末にしか乗らないホビーサイクリストなら、そこまでシビアな軽量化にこだわる必要はありませんが、2㎏、3㎏の重量差は大きいです。
そのため『ルック車』では、ロードバイク特有の軽快な走りはできません。
理由⑤ ロードバイクの爽快感が味わえない
『ルック車』を購入してはいけない理由をまとめると、『ロードバイクの爽快感を味わえない』というところに行きつきます。
結局、何のためにロードバイクを購入するのかを考えてみると、ロードバイクの爽快感を味わいたいからではないでしょうか。
残念ながら『ルック車』はシティサイクルの延長線上の乗り物です。
そのため、ロードバイク本来の走りを実感することは難しく、結局、私のように入門向けロードバイクを購入するのがオチです。
それならば最初からケチらずに、本物のロードバイクを購入した方が安上がりです。
『ルック車』に乗ってみて感じたこと
今でこそ、このような記事を書いている私ですが、実は私も『ルック車』に乗っていた時期がありました。
約10年ほど前の話ですが、当時大学生だった私はネット通販で、何もわからず「リタノフ」というルック車の代表格的な自転車を約3万円で購入しました。
購入当初は、『これがロードバイクかー。』『カッコイイ!』などとテンションが上がったのを覚えています。
持ってみるとシティサイクルよりも軽いですし、何より初めてのドロップハンドルにはテンションが上がりましたね。
試しにサイクリングロードを走ってみると、シティサイクルよりは確かに速く感じました。
ですが、乗っているうちに他のロードバイクと比べて違和感を感じるようになり、これ本当にロードバイク?と思うようになりましたね。
具体的には、補助ブレーキが付いている、ブラケットが貧弱すぎて購入3か月でゴムにひび割れが出てきた、前輪ブレーキの効きが異常なほど悪い、クイックリリースではないetc
そこで、この「リタノフ」という自転車について調べてみたところ、『ルック車』であることが判明しました(今思えば、『ルック車』という言葉の存在を知ったのもこの時でした・・・。)。
ネットの書き込みによると、『ルック車を購入するな。』『粗悪品』などと書かれており、評価は散々なものでしたね。
学生という身分にとって、3万円という金額は決して安くはありませんし、何より、『ルック車』だと判明してからは恥ずかしいという感情が先行してしまい、乗っていても楽しくありませんでした。
ここで注意していただきたいのは、ロクに下調べもせず購入してしまった私が悪いということです。
『ルック車』の性質を理解した上で、カスタマイズを楽しみながら乗っているという方もおられます。
パーツをグレードアップしながら、自分好みにカスタムすることは自転車の勉強にもなります。
そのため、使用目的によっては『ルック車』も悪くはないかと思います。
結局、「リタノフ」を購入してから約1年後、バイトで約10万円を貯めてメリダのエントリーモデルを購入することになりました。
『STIレバーってすごい!』『クイックリリースだとホイールの脱着がこんなに簡単なのかー。』と、いちいち感動していましたね笑
今思えばいい経験でしたが、皆さんは私のように失敗しないよう注意してくださいね。
まとめ
ロードバイクと『ルック車』の違いや『ルック車』を購入してはいけない理由について紹介していきました。
入門向けロードバイクは安いもので10万円前後です。
決して安いものではありませんが、ロードバイクの爽快感を味わうためには最低限必要な金額です。
私のように何も知らずに『ルック車』を購入してしまうと間違いなく失敗します。
なので、『ルック車』の性質を知った上で、購入するか否かを判断してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました<(_ _)>