ロードバイクは独特な乗車姿勢が特徴的です。
我流で乗り続けていると腕や腰の痛みなどの原因にもなりますので、正しい乗車姿勢を身に付けたいものです。
そこでこの記事では、ロードバイクの乗り方について
- ロードバイクに乗る前の準備
- ロードバイクの乗り方
- ロードバイクに乗る際の注意点
と題して、それぞれ紹介していきますので、ロードバイク初心者の方は是非参考にしてみてください。
ロードバイクに乗る前の準備
ロードバイクでどこかへ出かける前に、まずは最低限やっておくことがあります。
その1 最低限のトラブルに対応できるスキルを身に付けておく
ロードバイクでレースに出場したり、ロングライドを楽しみたいと考えているのなら、出先で起こる最低限の機材トラブルに対して、解決する術を身に付けておく必要があります。
トラブルといっても、大袈裟に考える必要はありませんが、最低限パンクの修理はマスターしておかないと単独での遠出はできません。
日頃からタイヤの空気圧をチェックして、劣化したタイヤやチューブを使わないようにしていれば、パンクに遭うリスクを下げることは可能ですが、そうはいっても一定の距離を走っていれば必ず起きてしまうトラブルです。
パンク修理に際して、特別な工具や技術は必要ありません。
最低限、予備チューブとタイヤレバー、携帯ポンプを用意して、何度か練習すれば誰でも直すことができますので、ロングライドの前に必ずマスターしておきましょう。
その2 ショップで自身に合ったポジションに調整してもらう
ロードバイクは乗車姿勢が独特なフォームであるため、乗り慣れるまでは体のあちこちが痛くなります。
原因はロードバイクに乗る上での必要な筋力が備わっていないことが挙げられますが、適切なポジションを出せていないことが原因で起こる場合もあります。
『ポジションを出す』とは、サドルの高さやサドルの前後位置、ハンドルの高さなどを自身の体型に合わせて調整することをいいます。
この『ポジション』が合っていなければ、体勢に無理が生じて怪我の原因にもなります。
多くの方は実店舗でロードバイクを購入されるかと思いますので、購入時にショップで自身に合ったポジションに調整してもらえるかと思いますが、もし、ネット通販などで購入したのでしたら、一度、最寄りのショップで調整してもらうことをオススメします。
その3 ロードバイクの基本操作をマスターしておく
具体的には、ドロップハンドルと変速方法に慣れることです。
ロードバイクのハンドルはドロップハンドルと呼ばれる独特な形状をしています。
ドロップハンドルはサドルの高さよりも低い位置にあるため、慣れるまではバランスを取ることが難しいですが、ドロップハンドルは長距離を速く楽に移動するためには欠かせません。
まずは、ロードバイクを自由に操れるように、曲がる練習をすることをオススメします。
ロードバイクはシティサイクルに比べて速度が出るため、曲がる時は左右の重心移動が重要になります。
初めのうちは左右に重心を傾けることに恐怖心を抱くかと思いますが、慣れれば問題ありません。
広いスペースで八の字を描くように曲がる練習をするのが効果的です。
合わせて、ロードバイクの変速についても練習しておきましょう。
ロードバイクの変速は、ブレーキレバーを操作して行う方法が主流になります。
すぐに慣れることができますので、道路を走る前にサイクリングロードなどでレバーをカチカチと動かして、変速の練習をしておくことをオススメします。
その4 ビンディングペダルを使用する場合は脱着の練習をしておく
ビンディングペダル+ビンディングシューズを使用する場合は、ペダルとシューズの脱着がスムーズにできるよう練習しておきましょう。
ビンディングペダル+ビンディングシューズを使用すると、ペダルとシューズが固定され、ペダリング効率が上がるため、レースやロングライドでは重要なアイテムになります。
慣れないうちは、ペダルとシューズが固定されていることをうっかり忘れてしまい、停止しようと思った時に足が外れなくて転倒してしまうことがあります。
車道で転倒してしまっては、車に轢かれてしまうリスクもありますので、脱着する感覚を掴んでから車道を走行することをオススメします。
その5 自転車向け保険に加入しておく
忘れがちですが、コレがかなり重要です。
自転車向け保険なんて大抵の方は加入していない場合がほとんどですが、ロードバイクを始めるなら加入しておくことをオススメします。
ロードバイクは速度が出ますので、ちょっとした操作ミスや油断が事故に繋がります。
気を付けていたとしても事故に遭ったり、事故を起こしてしまうことはありますので、万が一に備えて保険に加入しておくことをオススメします。
補償内容は保険会社や保険のグレードによって異なりますが、自身や他人に対するケガの補償はもちろん、自転車が大破して走行不能に陥った場合でも、現場までレッカーを要請することができたりと、自動車の保険と大差ない充実した補償内容のものも多いです。
自動車向けの保険と比較して価格もリーズナブルなので、万が一に備えて自転車向け保険に加入しておくことをオススメします。
ロードバイクの乗り方
それでは、ロードバイクの乗り方について紹介していきます。
その1 自転車に跨る
ロードバイクはフレーム形状が逆三角形になっているため、自転車に跨る際はトップチューブが邪魔になって、脚が引っかかってしまいますよね。
そのため、自転車に跨る際は車体を体側へ傾けて、後輪を跨ぐようにすると跨りやすいです。
その2 乗車姿勢
続いて、乗車姿勢について紹介します。
① 骨盤を立ててサドルに乗せる
ロードバイクのサドルは、シティサイクルのサドルと比較すると、驚くほど細く、座面の面積が小さいのが特徴です。
また、初心者の頃はロードバイクに乗るための筋力が備わってないので、乗車姿勢がアップライド気味になりがちです。
初心者の頃は、サドルとハンドルの落差が少ないため、重心がお尻に集中してしまう傾向があります。
シティサイクルに乗る感覚でドッカリ腰を下ろして座ってしまうと、確実にお尻が痛くなります。
お尻が痛くならないようにするためには、サドル・ハンドル・ペダルのそれぞれに上手く体重を分散させることが必要になりますが、初心者の頃はなかなか上手くいかないものです。
自転車のサドルとは本来座るためのものですが、ロードバイクのサドルに限って言えば、サドルは体を安定させるための支えとお考えください。
そのため、体重をかけて座ってはいけません。
初めのうちは、骨盤を立てて座ることをオススメします。
ロードバイクのフォームは、『骨盤を立てるフォーム』と『骨盤を寝かせるフォーム』があります。
どちらが良いかについては、走りの目的やフォームとの相性にもよりますが、一般的に『骨盤を立てるフォーム』はペダルの回転重視のフォームで、『骨盤を寝かせるフォーム』はトルク重視のフォームといわれています。
『骨盤を寝かせるフォーム』は力強く踏むことができるメリットがありますが、前傾姿勢が強いことから、体幹の筋力がなければ長時間維持することは難しいです。
一方、『骨盤を立てるフォーム』はペダルの回転重視のフォームのため、パワーを出すことは難しいですが、フォームがアップライド気味になるため、体幹の筋力が備わっていない初心者向けのフォームといえます。
プロの世界では骨盤を寝かせている選手が多いですが、いきなりあのフォームは無理ですので、まずは『骨盤を立てるフォーム』を練習してみることをオススメします。
② ブラケットを握った状態で、肘が軽く曲がる状態がベスト
サドルに腰を下ろしてブラケットを握った時に、肘が軽く曲がる状態がベストです。
この状態であれば、路面の衝撃を肘で吸収することができるほか、ハンドリングにも余裕が生まれるため、あらゆる面でメリットになります。
仮に、腕が伸びきっている状態であれば、ハンドルの位置が低すぎる、サドルの位置が遠すぎるといった要因が考えられますので、調整する必要があります。
とはいえ、初心者の頃は適正なポジションで乗っていたとしても、体幹の筋力が備わっていないことから、腕が伸びきってしまう傾向にあります。
これに関しては、ひたすら乗り込んでトレーニングしていくしかありません。
③ 目線は常に遠くを見る
前傾姿勢が強いロードバイクは、目線が下を向きがちです。
目線が下を向いてしまうと、前方の障害物の存在に気が付くのが遅れて衝突してしまったり、真っすぐ走れずにふらついてしまうといったデメリットがあります。
また、目線が下を向いてしまうと肺が圧迫されて呼吸がしにくくなってしまいます。
このように、目線が下を向くことによるメリットはありませんので、目線は常に遠くを見るように意識しましょう。
その3 ペダリング
ロードバイクの世界では、『ペダルは踏むのではなく回す』のが正解だといわれています。
このペダリングができるようになると、長距離を楽に走ることができるようになります。
もちろん、シチュエーションによってペダリング方法は変わってきますが、平坦であればペダルを回すことに意識を集中しましょう。
ペダルを力ずくで踏んでしまうと、無駄な体力を消費してしまうばかりか、膝を故障してしまうリスクもあります。
ペダルを回す感覚を掴むことができれば、追い風基調のコンディションであれば、ほとんどペダルに力を入れることなく、ペダルが勝手にクルクルと回っていきます。
ビンディングペダル+ビンディングシューズを導入すると、引き足を使うことが可能になるので、ペダルを回す感覚を掴むことができます。
引き足とは、ペダルとシューズが固定されていることを生かして、ペダルが下死点(時計の6時の位置)から上方向へ上がるタイミングで、脚を引き上げて踏み脚をサポートすることをいいます。
時計の12時の位置にペダルが来たタイミングで、ペダルを前方に押し出すようにし、3時の位置を通過するタイミングでペダルから力を抜くようにします。
この時、踏み脚と反対の脚については、引き足を使ってペダルを上方向に引き上げ、踏み脚の邪魔をしないようにペダルに掛かる荷重を抜くようにしましょう。
これを意識すると、自然と回すペダリングが身に付くようになります。
その4 止まり方
続いて、止まり方について紹介します。
① ブレーキを掛ける前に重心を後方に移動させる
ロードバイクに限らず、自転車は自動車と比較してホイールベースが短いため、強くブレーキを掛けると重心が前のめりになり、前方へ転倒してしまうリスクがあります。
そのため、ブレーキを掛ける前に、お尻をサドル後方へ若干移動させ、重心を後方に持っていくことが重要です。
このように、ブレーキングと重心移動は必ずセットで行いましょう。
② 状況に応じて前後のブレーキを使い分ける
ロードバイクに限らず自転車のブレーキは、『左手が後輪』『右手が前輪』となっています。
自動車のブレーキについても同じことがいえますが、一般的に前輪ブレーキの方が制動力の面で優れているため、停止する際は前輪ブレーキの操作をメインに行います。
ただし、前輪のブレーキ操作のみだと、慣性の法則により、前輪に全重量が掛かってしまうことになり、前のめりになって転倒するリスクがあるので危険です。
よって、後輪ブレーキとのバランスが重要になります。
ブレーキングに関しては、路面状況によって正しいブレーキング操作が異なるため、シチュエーションに応じて使い分ける必要がありますが、一般的なアスファルト路面であれば、後輪ブレーキを気持ち先に掛けた後、前輪ブレーキを掛けると、後輪が浮くことなく安全に止まることができます。
つまり、後輪ブレーキには、重心が前のめりになろうとする力を後方から引っ張る役割があるということです。
信号などで停止する際は前輪ブレーキがメイン、ダウンヒル時などで減速する際は後輪ブレーキをメインに使用します。
つまり、前輪ブレーキは『停止するためのブレーキ』、後輪ブレーキは『速度調節のためのブレーキ』と覚えておきましょう。
注意点として、路面に砂が浮いているような状況で強くブレーキを引いてしまうと、タイヤがロックして転倒する恐れがあるため、急ブレーキは厳禁です。
③ 停止する際は、サドルから腰を下ろして左足を地面に着く
ブレーキを掛けて停止する際は、止まる直前にサドルから腰を下ろして、必ず左足を地面に着くようにします。
ロードバイクはサドル位置が高く、サドルに跨った状態では足が地面に届きません。
そのため、自転車が完全に停止する前に腰を前方へ下ろして足を地面に着く準備をしておきます。
(ビンディングペダルを使用している場合は、予めペダルからシューズを外しておくのを忘れずに。)
続いて、左足で地面に着く理由について説明します。
自転車は車道の左側端を走行するため、自分の右側を車が通過することになります。
右足を着いて運悪く転倒してしまえば、車側へ倒れることになり、運が悪ければ車に轢かれてしまいます。
そのため、地面に足を着く際は、必ず左足で着くクセを付けておきましょう。
【重要】交通ルールを確認しておきましょう
最近では自転車のマナー違反がクローズアップされています。
スポーツバイクに乗るなら、他の自転車の模範になる運転を心掛けたいですよね。
そこで、ロードバイクを始める前に、交通ルールを再確認しておくことをオススメします。
自転車は軽車両であるため、車道の左側端を走るのがルールとなっています。
自転車が歩道を走行できる場合は、『歩道通行可の標識がある場合』『13歳未満、もしくは70歳以上の場合』『身体に障害を有する場合』(2021年時点)などです。
その他にも、ハンドサインや二段階右折の方法も確認しておいた方がいいです。
右手を水平に真横に広げると右折しますという合図で、左手を同じように真横に広げる(もしくは、右手を真横に広げ、肘を直角に曲げて手の平を上に伸ばす。)と左折しますの合図になります。
また、ロードバイクは原付と同じで、交差点を右折する際は、二段階右折が基本になります。
二段階右折って何?という方は、一度確認しておきましょう。
まとめ
初心者の方がロードバイクを購入して、乗り始めるまでの準備や、ロードバイクの乗り方、注意点などについて紹介していきました。
ロードバイクは独特な乗車姿勢のため、乗り慣れるまでは大変かもしれませんが、慣れてしまえばこんなに楽しい乗り物はありません。
是非、本記事を参考にしていただければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました<(_ _)>